アモキシシリンが性病や胃腫瘍など幅広く効く理由

アモキシシリンとは、細菌感染による炎症に使われる薬剤であり、細菌が原因となって発症する様々な感染症に効くとして使用されています。
連鎖球菌や肺炎球菌・大腸菌など多くの菌を死滅させることのできるペニシリン系の抗生物質です。
病原体となる細菌や真菌が身体の中に侵入すると、私たちの身体は病原体を外に追い出そうとして免疫機能を働かせます。
この免疫防御反応の過程で炎症が生じるため、腫れや発赤が起こってしまいます。

アモキシシリンなどのペニシリン系抗生物質の作用機構は、細菌が新たに作られる過程を阻害することで増殖を止めてしまおうというものです。
細菌や真菌は、私たち人間と異なり細胞の膜の外側に細胞壁と呼ばれる構造を持っています。
この病原体にだけ発現している細胞壁の合成を阻害することによって体内での病原体の増殖は抑えるため、人間をはじめとした哺乳類の細胞増殖は阻害せずに済むという仕組みです。

梅毒や淋病などをはじめとした、最近が原因となって発症する性病にもアモキシシリンはよく効くとされています。
しかし性病の原因菌の種類によっては合わないものもあるので、注意が必要です。
また、胃潰瘍にもアモキシシリンが用いられることが多くあります。

この薬剤を使うことができるのは、胃潰瘍の原因がヘリコバクターピロリと呼ばれる細菌である場合です。
ピロリ菌は、衛生環境が十分に整っていない時代に経口感染し、それが受け継がれてきたものとされています。
ピロリ菌による胃潰瘍を放置していると、胃腫瘍を発症してしまうかもしれません。
胃腫瘍とはいわゆる胃がんであり、高齢者に特に多く発症が見られます。

多くの細菌が胃酸の中では生きられないにもかかわらず、ピロリ菌は胃酸の強い酸性環境でも不活化することがありません。
また、多くの薬剤は胃の中では酸に分解されて効果を発揮することができないため、ピロリ菌の除去は困難だとされていました。
しかし、胃酸を抑える薬とアモキシシリンを上手に併用することによって、ピロリ菌を除去することが可能になっており、現在では約80%がこの薬剤で除去に成功しているとされています。
ピロリ菌を除去することで、胃腫瘍の予防が可能です。

犬用のアモキシシリンと人間用に違いはある?

アモキシシリンを服用するのは人間だけではありません。
良く知られているのが、犬や猫などの動物に対して用いられるケースです。
アモキシシリンを服用する犬の病気としては、外耳炎や中耳炎などをはじめとした耳の感染症や鼻炎・肺炎・細菌性腸炎・咽喉頭炎・腎盂腎炎など様々な感染症で、人間に用いられる場合と大きな違いはありません。

基本的に、動物医療の現場で使用されている薬剤は人用であることが多いため、成分や効能に違いはなく、用法用量を動物向けに応用しているというケースが多くなっています。
動物専用の製剤は全体の2割にも満たないといわれるほどです。
しかし、成分が同じだからといって犬に処方された薬を人間が飲んでしまってはいけません。
また、人間用に処方された薬剤を自己判断で自分のペットに飲ませるのも決してしてはいけないことです。

抗生物質の服用には、他の病気の薬を飲むときと異なり注意しなければいけないことがあります。
それは耐性菌の出現です。
抗生物質の投与量が少なく低濃度だったり中途半端に飲んだりしていると、病原体はその薬剤に対して耐性を獲得します。
一度耐性をつけられてしまうと、使用していた薬ではもう対象の感染症を治すことができなくなってしまいます。

人や犬に抗生物質が処方されるときは、最後まで飲み切って完全に細菌を除去できる量に調整してあります。
そのため自分向けに処方されたものではない薬を飲んでしまうと、感染症がきちんと治らないどころか、更に細菌をパワーアップさせてしまう事につながる可能性があります。
また、犬などの動物や人に比べて薬剤の代謝能力が低いことが多いです。
そのため少しの薬物量でも重篤な副作用が出ることが考えられるので、犬向けに処方されたもの以外は与えないようにしましょう。

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